車両の輸出をしました!


こんにちは,ロジスティクス部門の今井です.
私,たまにこのブログに投稿させていただいていますが,いつも我々のブログの文頭では役職名を紹介する慣例となっていまして,「ロジスティクス」……はて,なんの役職だ?と思われた方もいらっしゃるかもしれません.ビジネスマンの方ならピンときた方もいらっしゃるでしょうか,
そう,「輸送部門」です.
我々のプロジェクトは海外のラリーに参加することが目的ですから,自分たちで組み上げた車を海外に輸送する必要があるわけです.
今回は車のコンテナ輸送に焦点を置いて,未知なるコンテナの世界をご紹介していきます.最初は手続きや準備の苦労などの堅苦しい話,最後は港で感動のお別れという流れで書いています.
レッツロジスティクス!

港の壮大な感じ,好きです.

カルネ作成

さて,カルネという言葉,皆様は聞いたことがありますか?この言葉は,うちでも輸出(入)やってるよ!という方でもご存知ないかもしれません.カルネとは,一時的に物品を持ってゆき持ち帰る,いわゆる一時輸出入品に対して税関に提出する書類のことです.まさに,今回のラリーのように一時的に車両を外国へ持ち出す場合に使うわけです.そもそも日本から国外へ何かを送ろうとすると,それは税関の人からすると「輸出」とみなされるわけです.「輸出」となると送り先の国からするとそれは「商業的な輸入」だと認識されるわけです.そうすると,ニュースでたまにみる関税という税金が,送る品物に対してかかってしまうことになります.しかし,よく考えてみてください,それだと私たちは観光や取材,そしてラリー競技だけのために「輸出」「輸入」したものに関税がかけられるのでしょうか.戻ってくるときも「輸入」をするので二回関税をかけられてしまうのでしょうか.答えはNOです.商品取引が無い以上関税がかけられることはありません.しかし,還付申請はとても面倒で,今回のように車両等の高額商品に税金がかけられると,一時的な支出とはいえ我々のプロジェクトにとっては痛手となります.そこでこのカルネが威力を発揮します.カルネを持っていると,絶対に輸出したものを元の国に戻すという条件で,品物を無関税で輸出入でいるようになります.しかも通関業務が簡易化できます.ただし,事前に申告したものしか載せられません.よって,輸送するものを全てリスト化する作業を行いました.弊プロジェクトでは,毎年この作業を行なっているのですが,今年は6台で出場となっており前年までより輸送物品の点数は多くなっています.とはいえキャンタートラックの車両内に,全ての物品を収納することが望ましく,本当に必要なものを吟味する作業がとても大変でした.結局およそ580点の必要なものをリストアップすることになりました.
カルネ申請のために一点一点リスト化し物品本体にラベリングするというのは大変労力を必要としますが,今回のように,ある程度大規模なプロジェクトなどの場合はこの作業を行うこと,すなわちきちんとした物品管理すること,それ自体とても重要であると考えております.手続き上の話ではなく,物品をしっかり管理することで必要十分な荷物を,紛失を最小限に抑えることができるからです.全くこのような機会を与えてくれた関税法に感謝ですね.これらを実験室(我々のガレージのこと)から引っ張り出してくるのですから大変です.必要なものが本当に存在するのか、あれがない,これが壊れてる,競技車両の中にも色々散らかってるなど現場は混乱を極めました.

なんとか申請して得たカルネ.ずっしり重みを感じます(物品リストが多いからでもある).下に税関のスタンプがあるので輸出許可が出た後のものになります.

梱包

物品がある程度揃ったら次に梱包を行います.車両に荷物を入れるだけと言えばそれでおしまいですが,コンテナの揺れに荷物が崩壊することを防ぐ工夫が必要になります.工夫とは荷物を最大限詰め込んで壁や天井につっかえさせて固定するなど,臨機応変な対応をしました.重要なエンジン部品などはベルトでしっかり固定しました.毎晩の深夜に渡る作業で正直これは崩壊しないようにできている自信はありません.現地で実際に中身を見ないとわからないのですが,正月に神頼みだけでもしておきます(遅い?

梱包も終盤戦.キャンタートラックの居心地が良いのか疲れているのか,リーダー伊藤が中に居座りだす.邪魔ですよ!

 

輸出許可申請

保税地域に車を入庫したらカルネにスタンプをもらうべく東京税関大井出張所に伺いました.欠品(書いた物品リストの中で実際には持っていかない物)の羅列に職員の方は頭を抱えていて大変恐縮したのですが,なんとか許可が出ました.書類の審査だけの話ですが感動の瞬間です.この時自分の近くに貼ってあった税関ポスターにあったイメージキャラクター「カスタム君」に無限に感謝いたしました.

カスタム君の模式図[1]

コンテナへバンニング(積載)そしてお別れ

作業も最終工程,ついに港でのコンテナ積載作業を行いました.車両とのしばしお別れの時間です.キャンタートラックは大きいので通常のコンテナには積載できません.オープントップコンテナというコンテナの天井が開いたやつに積載します.それでもギリギリ入るくらいの隙間に一苦労でした.

倉庫に入庫します.ここは「保税蔵置場」であり,ここに入庫すると車は「外国貨物」として扱われます.

キャンタートラック,コンテナに入ります!

入ったー!コンテナ上方に見える突起が本当にギリギリでひやりとしました.

 

他の車両も難なく入庫!

 

感慨深いという気持ち半分,車両整備担当者は連日にわたる過酷な作業が終わったんだという安堵もあったのではないでしょうか.メンバーの皆さんお疲れ様でした.

輸送前の追い込み.レポートも整備も同じかな?

SPITFIREを整備するのは須藤,向井.作業量が多いだけあって連日泊り込みだったとか...すごい

参考画像

[1]財務省,税関イメージキャラクター『カスタム君』 税関 Japan Custom(online),available from<http://www.customs.go.jp/zeikan/customkun/index.htm>(accessed on 11 December, 2018)

Imai

Imai

ロジスティクス部門長・Web副部門長 東京大学大学院工学系研究科の修士1年生です.車のことについてはまだまだ勉強中です.